医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組
~医師の働き方改革に関する検討会~

医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組

「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)を踏まえて設置された「医師の働き方改革に関する検討会」で、「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」がとりまとめられました。これは、医師の長時間労働の実態を踏まえ、その改善のために直ちに取り組むべき事項を明らかにし、取組を進めていく必要があるとされたことを踏まえたものです。
緊急対策では、医師を雇用する個々の医療機関が次のような項目に取り組むことを求めています。

1.医師の労働時間管理の適正化に向けた取組

医師の在院時間について客観的な把握を行いましょう。ICカード、タイムカード等が導入されていない場合でも、出退勤時間の記録を上司が確認するなどして的確な把握をしてください。
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」も参考に、自機関で働く医療従事者の労働時間を適切に管理する必要があります。

参考

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(厚生労働省ホームページ)

2.36協定等の自己点検

36協定の定めなく、また、36協定に定める時間数を超えて時間外労働をさせていないか確認しましょう。
医師を含む自機関で働く医療従事者とともに、36協定で定める時間外労働時間数について自己点検を行い、業務の必要性を踏まえ、長時間労働とならないよう、必要に応じて見直しをしましょう。自己点検に当たっては、診療科ごとの実態の違いを考慮した複数の定めとする対応も検討しましょう。
あわせて、就業規則等の労働関係法令上作成が求められる書類についても内容を確認し、自己点検後の36協定等を適用対象である医師についてきちんと周知しましょう。

時間外労働をさせる場合には、36協定の締結、労働基準監督署への届出が必要です。常時10人以上のスタッフを雇用する医療機関では、始業・終業時刻や賃金等の基本的な事項について定める就業規則を作成し、届け出ることも必要です。36協定や就業規則は、病院内の見やすいところに掲示するなどによりスタッフに周知しなければなりません。労働関係法令上守るべき事項についてチェックする際には、下記のチェックリストを活用するほか、医療勤務環境改善支援センターなどにご相談ください。

参考

労働時間の労務管理チェックリスト(平成30年3月の手引き(改訂版)より)(いきいき働く医療機関サポートWeb)

「勤務医の労務管理チェックリスト」(日本医師会「勤務医の労務管理に関する分析・改善ツール」より)(いきいき働く医療機関サポートWeb)

3.既存の産業保健の仕組みの活用

労働安全衛生法に定める衛生委員会や産業医等、既存の産業保健の仕組みを活用して、長時間勤務となっている医師、診療科等ごとに対応方策について個別に議論しましょう。その際、タスク・シフティング(業務の移管)の推進や医療機関の状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取組の事項等について検討しましょう。

常時50人以上のスタッフを雇用する医療機関では、衛生委員会を設置し、産業医を1人以上選任しなければなりません。衛生委員会は毎月1回以上開催するようにしなければなりません。

4.タスク・シフティング(業務の移管)の推進

医師の業務負担軽減のため、他職種へのタスク・シフティング(業務の移管)を推進しましょう。
次のものについては、平成19年通知等の趣旨を踏まえ、医療安全に留意しつつ、原則医師以外の職種により分担して実施しましょう。

  • 初療時の予診
  • 検査手順の説明や入院の説明
  • 薬の説明や服薬の指導
  • 静脈採血
  • 静脈注射
  • 静脈ラインの確保
  • 尿道カテーテルの留置(患者の性別を問わない)
  • 診断書等の代行入力
  • 患者の移動 など

労働時間が長い医師について、その業務の内容を再検討し、上記3の仕組みも活用しつつ、関係職種で可能な限り業務分担が図れるよう検討を行いましょう。
また、特定行為研修を修了した看護師を有効に活用し、タスク・シフティングを進めている医療機関があるという実態を踏まえて、特定行為研修の受講を推進するとともに、生産性の向上と患者のニーズに対応するため、特定行為研修を修了した看護師が適切に役割を発揮できるよう業務分担等を具体的に検討することが望ましいです。 特に、大学病院においては、上記の取組を一層推進することが求められています。

参考

平成19年通知(「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」(平成19年12月28日医政発第1228001号厚生労働省医政局長通知)[PDF:2.04MB]

5.女性医師等に対する支援

医師が出産・育児、介護等のライフイベントで臨床に従事することやキャリア形成の継続性が阻害されないよう、各医療機関で、短時間勤務等多様で柔軟な働き方を推進するなどきめ細やかな対策を進めましょう。

6.医療機関の状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取組

各医療機関の置かれた状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取組として、以下のような各医療機関・診療科の特性を踏まえた取組を積極的に検討し、導入するように努めましょう。

•勤務時間外に緊急でない患者の病状説明等の対応を行わないこと
•当直明けの勤務負担の緩和(連続勤務時間数を考慮した退勤時刻の設定)
•勤務間インターバルや完全休日の設定
•複数主治医制の導入 など

7.相談できる関係機関

緊急対策で示された項目に取り組むに当たっては、次の関係機関へ相談することができます。これらの機関も積極的に活用しましょう。

労務管理を含む勤務環境改善全般に関すること

大阪府医療勤務環境改善支援センター

〒543-0074
大阪市天王寺区六万体町4-11
大阪府病院年金会館3階
TEL:06-6776-1616

産業保健に関すること

大阪産業保健総合支援センター

〒540-0033
大阪府大阪市中央区石町2-5-3
エル・おおさか南館9F
TEL:06-6944-1191
FAX:06-6944-1192

8.緊急的な取組にかかるQ&A集

医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組Q&A[PDF:247KB]

9.医師の働き方改革に関する検討会関連資料

医師の働き方改革検討会の一覧 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_469190.html

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